雲の向こうへ

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好きだからだ、バーカ!

さて、どこにいるでしょう?
家の前。

それは誰の?
とにかく自宅ではない。

何しにきたの?
強いて言うなら嫌がらせ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先月の話から始めよう。

2月14日、バレンタインデー。
お菓子会社の陰謀に踊らされる日。
何ももらえる予定のない人には無縁の日
俺も去年までその一人だった。
玄関でクツを履こうとしている時に
誰かが近寄ってきたので振り返ってみると

「高津くん、好きです!コレもらって!」

冬だけど私にも春が来たと感じた瞬間だった。
惜しむべくはおしゃべりなクラスの女子が、
俺に気がある子がいるなどと言っていて驚きが半減しとことだ。
いや、それでも嬉しいものは嬉しい。
「ありがとう、ちゃんとお返しするから」
小包をカバンにしまい帰路につこうとしたとき声がかかる。

「ねぇ高津、ちょっと待ちなさいよ」

柳礼佳、よりによって今一番会いたくない人に見つかった。

「俺、早く帰りたいんだけど何なん?」
「ふーん、奈月のチョコそんなに早く食べたいわけ?」

グサッ、急所に当たった効果は抜群だ。
一部始終を完全に見られてたのだろう。

「違うし、今日は塾がだな……」
「塾やってないでしょ、あんたいつも木曜日は公民館くるじゃん」

バレてる。
こうなれば開き直りだ、カッコ悪いとでもなんとでも言え。

「はいはい、嬉しかったですよ。告白とか初めてですもん、いいじゃん。」
「あ、こいつ開き直ったバカじゃないの?」

言うと思った、柳の私に対する口癖だ。
腐れ縁ともなるとある程度予想はできるものだな。

「で、何だよ用ないなら帰るし。」
「これ、あんたに上げる、さっさと鞄にしまえ。」

礼佳はそう言って小さな紙袋を渡してきた。
意味がわからない、誰かに渡せということか?
そういえば前に礼佳の好きな人のヒントを聞いた気がする。
名前に「ゆ」と「た」が入るとかなんとか……
行動の真意を確かめるべく礼佳に聞く。

「祐太に間接的に渡しとけってこと?」

一瞬、礼佳が呆れて怒りそうな気がしたが気のせいだろう。

「何でここでアイツの名前が出るの?」
「だってこの間の賭けで好きな人ヒント【ゆ】と【た】って言ってたし」
「……あんたが持って帰れ、命令。で、ありがたく食べろ。」
「意味わからん、俺が食べたら意味ないだろ。好きな奴に渡せや。」
「あんた自分の名前言ってみなさいよ」
「は?高津由宇だけどそれがどうしたんだよ」
「だからあんたが貰えばいいわけ。」

もう、何言ってるんだコイツはバカなんじゃないか?
いつもは頭がキレるのに今日に至っては話が通じない。
しびれを切らした俺は礼佳に端的に語気を強めて聞いた。
「だから何で俺に渡すんだよ!」と。


「好きだからだ、バーカ!!!」


顔を真っ赤にしてこんなに大きな声で叫ぶ礼佳を初めて見た。
しかしその光景に驚いている余裕は俺にはなかった。
俺のことを好き?礼佳が?何で?次々と疑問符が浮かぶ。
いつも冷静な自分でいられないそんな感覚に襲われた。
俺が口を開く前に礼佳が矢継ぎ早にまくし立てる。

「あんた、色恋に聡いとかこないだ言ってたけど疎いから。
ここまでヒント出して気づかないとかバカなの?いやバカね。
奈月のは貰ったらありがとうなのに何で私のは悩むわけ?
「祐太に渡す?」とかバカすぎるでしょ、本当にバカだわ。
今日はそういう日なの、理解しろバカ。しね、バーカ!」

思考停止中の俺には何を言われているのかさっぱりだったが、
ただ1つわかったことは私がバカだったということだ。

「いや、悪い、何か信じられなくて、とりあえずありがとう。」

よかった、ありがとうを言えるだけの冷静さは残っていたみたいだ。

「……不味かったら捨てればいいし、食べなくたっていい好きにして。
……あとお返しとかいらない、そんなつもりで作ってないから。」

それだけ言ってそそくさとその場を立ち去ろうとする礼佳。
言わなきゃいけない事があると思って呼び止める。

「柳、ちょっと待って。」

振り返ってくれないのは俺の鈍さに呆れたからかもしれない。
それでも伝えたいことは伝えるべきだと思って言った。

「ちゃんと食べる、折角作ってくれたみたいだし。
お返しはする、いらないって言ってもする。」
「あっそ、勝手にすれば。」

そう言うと今度は呼び止める前より幾分か早く帰路を歩いて行った。
俺は帰り道が同じなので少し遅れて帰ることにした。
校門にもたれかかって色々と考える、俺はどうするべきなのだろうと。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そんなこんなで一ヶ月が経って今日、3月14日。
礼佳はというと学校を休みやがった。
昨日まで元気だったのに、今日になって急にだ。
それで仕方なく礼佳の家まで来たわけだが、緊張する。
お返しは自分で選んだ、作れなかったのは残念だが仕方ない。
インターホンを鳴らすと中で誰かが返事をしてすぐにドアが開く。
黒髪にメガネの似合う彼女はドアの開いた先でいつものように
少し高圧的にライバル心を感じさせながら私を見てくる。

「……いらないって言ったはずだけど?」

あなたはホワイトデーのお返しに何を送りますか?
癒されてください、とやわらかいマシュマロを送る人。
仲良く分けましょう、と分けやすいクッキーを送る人。
キレイだよね、と宝石のようなキャンディーを送る人。

「いらないって言ってもするって言ったはずだけど?
それにお返しじゃない、ただの嫌がらせだ、貰え。」

高圧的な口調、柳の性格が写ったみたいだ。
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